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2012年10月29日月曜日

パラレル・コンプレッション(New York Compression) 1 調査編



 映像関連の仕事をしている友人から、音声をブラッシュアップする方法を聞かれ、Compressor、EQ等、色々使い方を説明しました。そういえばCompなどの記事もあまり充実していないので、記事を書こうと、英語Wikiを見ていたら、パラレル・コンプレッションという項目を見つけました。知らない用語でしたので、詳しく調べてみました。




 いわゆる音楽のコンプレッサーは、Dynamic Range Compressionと総称され、音声信号を圧縮することができます。下記の図は、Wikiからの引用です。インプットレベルが、スレッショルドで設定した値を超えたときに、アウトプットを圧縮します。そして、それによって得られる値(差)をゲイン・リダクションといいます。リダクションは、読んで字のごとく、reduce(減少する)の名詞です。Downward Compressionとも言われます。


 私もコンプレッサーと言えば、この働きをイメージします。圧縮された分だけ、音量を増幅させることが出来ます。時間軸を調整するAttackやRelease、圧縮率Ratio、圧縮時の滑らかさKneeなど、他にも項目はありますが、今回は説明を省きます。




 こちらの図は、Upward Compressionと言われ、インプットレベルが、スレッショルド以下の場合に、アウトプットを持ち上げる作用があります。今回のタイトルにあるパラレルコンプレッションは、どうやらUpward Compressionの一種のようです。

 このパラレルコンプレッションは、最も高いピークを圧縮する通常のCompressionとは異なり、むしろ、ソフトなサウンドを持ち上げることによってダイナミックレンジを減少させる、という働きを持ちます。
 
 人間の耳は、ラウドなサウンドが減少したりすることには敏感ですが、ソフトなサウンドの音量が上がることには、それほど敏感ではないようです。この性質を利用することで、ソフトなサウンドを持ち上げて、フィーリングや音の立ち上がりを早くできます。

 仕組み自体は、プロセスされていないドライな、あるいは軽く圧縮された信号と、強めに圧縮した信号をミックスする、という処理になっています。注意する点は、デジタルの場合、プラグインの遅延が発生するので、位相のズレが起きる可能性がある、ということです。アナログ回路であれば、この点はあまり気にする必要もないようですが、デジタルの場合は、遅延補正などシビアにタイム・アジャストを出来ないと、効果が無くなってしまうようです。

 ドラムのルームマイク向け、パーカッション、ベース、ボーカル、ライブ音源、ミックスダウン、レコーディング時と、利用するポイントは様々みたいです。文章からイメージできるのは、立ち上がりを早くして、スムースなサウンド、といったところでしょうか。予測が当たるか楽しみです。
 

 駄文ですが、映像関連の人向けに、簡単な音声処理の記事を書いてみるか検討してます。(5時間かけて説明したのです…)

参考サイト
SOS (英語)
http://www.soundonsound.com/sos/mar09/articles/qa0309_3.htm


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