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2012年5月17日木曜日

ギターアンプ Carr Mercuryのバイアス調整

Carr Mercuryはブティックアンプの中でもなかなか良いサウンドがします。
クリーンから、真空管のファットなドライブまで、ホーム、スタジオで幅広く使えます。

 真空管アンプの醍醐味、そして、メンテナンスのひとつに、真空管を交換する、という作業があります。基本構成として、パワー管、プリ管を含みますが、真空管を交換した際には、バイアス電流、という真空管に流れる際の、電圧の調整が必要になります。

 プレイヤーにとって、真空管アンプのバイアス調整というのはなかなか難しい作業ですが、Carr Mercuryは、簡易的に調整できるようにデザインされています。オーナーズマニュアル(英語)に、その方法が記載がありますので、実際にやってみようと思います。通常では、難しい作業ですが、マニュアルを読む限りできそうです。(翻訳については前回の記事にあり)

(今回は真空管は交換しませんが、チェックと必要があれば調整してみます。)

注意:オーナーズマニュアルには、パワー管の交換のみにしか、言及がありませんのでプリ管で同じようにできるかは、確認していません。


必要なもの
1.ゴム手袋 (これがないと感電?と火傷します。真空管の近くに手を入れますので、かなり熱くなりますのでご注意。)
2.DC/直流電圧を測れる測定器(ホームセンターとかで売っているもの)



まずMercuryの裏側です。青いスピーカーの左側に下向きにパワー管が付いています







次に、シャーシ下側の、パワー管の左側についているMercury本体の黒のテストポイントに、黒のテスター針を刺します。赤のテストポイントには赤のテスター針を。写真はもうすでに差してしまっていますが、覗けばわかります。





下からみるとこのようになります。





続いて、本体の電源を入れスタンバイモードで1分待ちます。
プレイモードにして、5分くらい温めまるまで待ちます。
テスターをオンにして、直流電圧を測れるように設定し、数値を確認します。
43.2ミリボルトです。推奨は45ミリボルトと、マニュアルに記載あります。




 続いて、バイアスの調整ですが、調整用のノブは、少々厄介な場所にあります。
ノブは、スピーカー方向を向いて付けられています。つまり、本体の裏側から手を入れて、操作します。場所は、パワー管と、先程の赤いテスターを入れた赤丸のテストポイントから、上方にあります。下側にスピーカーアウトプットジャックがあるので、これを探れば、分かります。電源Off時に、あらかじめ確認しておいたほうが、余計な箇所を触らずにすみます。






 実際に手を入れてみましょう。ごそごそ。




 つまみをゆっくりと、どちらかに回せば、数値が変動します。これで、45ミリボルト付近に合わせます。マニュアルによれば、許容範囲としては40〜50ミリボルトらしいですが、ファクトリ設定は45ミリボルトです。テスターを抜けば、プレイできます。真空管はかなり熱くなっているので、長袖も良いかも。



感想:オーナーズマニュアルに記載があるとおり、簡単に調整できた。真空管(パワー管)の交換もこれでOKだ。しかし、プリ管はどうなのだろうか…そもそも、わざわざMercuryサウンドを変える必要もないのだろうが…
 Carr Mercuryは、ホームユースを設定したデザインになっているため、ユーザーが簡易的にバイアス調整できる。この仕組は素晴らしいと思う。もちろんプロのEngineerに見てもらえば、細かいところまで見てもらえるのだろうが、真空管の交換という作業が、安全、かつ、コストほぼゼロでできる点は素晴らしい。サウンドが確立されたアンプのため、プリ管を交換するかどうかは迷うが、パワー管はドライブやアッテネータによるワット数の変更によって、より消耗が激しくなるので、パワー管の選定には最適だ。
 こういったところにも作り手の「心意気」が感じられる良いアンプだと思います。値が張る理由も、これなら頷けますよね。


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